「遺伝子組み換えって安全なの?危険なの? 健康被害を聞いたことがないけど…。海外にはどんな研究結果があるの?」
本記事ではこのような疑問にお答えします。
本記事の内容
・遺伝子組み換え 世界の歴史
・遺伝子組み換え 研究結果・報告
・世界の動き
世界で最も高い割合で、遺伝子組み換え食品を食べている国のひとつが日本です。
スーパーやコンビニの棚に並べられてる食品の75%以上が遺伝子組み換えの原料で作られているといわれています。
それを聞くと、遺伝子組み換えの安全性について、まっ先に知りたいところですよね。
結論からいうと、安全性に関して
白黒はっきりしていません。
遺伝子組み換え技術は開発されてからまだ20年ほどの新しい技術で、いろいろな意見があります。
そこで、日本だけでなく世界にも目を向けてみました。
遺伝子組み換え作物 世界の歴史
1994年 | アメリカではじめて遺伝子組み換えのトマトが栽培される。 |
1996年 | 日本に遺伝子組み換え作物が初めて輸入される。 |
2005~ 2009年 |
アルゼンチン 遺伝子組み換え作物が栽培されている地域で、癌性の腫瘍が全体平均の2倍に。アルゼンチンの3万人以上の医師、医療専門家がラウンドアップの禁止を政府に求める。 |
2015年 | 世界保健機関(WHO)の専門組織の国際がん研究機関(IARC)がラウンドアップの主成分である「グリホサート」に発がん性の懸念があると発表。 |
2015年 | 19か国が遺伝子組み換え品種の流通を禁止。 |
2016年 | ロシアで遺伝子組み換え食品の輸入と栽培を禁止。 |
2018年 | 米国サンフランシスコ州の裁判所がモンサント社に2億8900万ドル(約320億円)の賠償命令。(除草剤ラウンドアップによって喉に悪性リンパ種を患った男性がモンサントに対して損害賠償を請求していた。) |
2019年 | 遺伝子組み換え食品の第2世といわれる「ゲノム編集食品」が解禁される。 |
2023年 | 日本で「遺伝子組み換えでない」の表示基準が変わる予定。 |
米国環境医学会(AAEM)は遺伝子組み換え食品についての警告を発表しています。
2009年 米国環境医学会(AAEM)
- 「遺伝子組み換え食品は安全性で問題がある」と警告を発表。
- 遺伝子組み換え食品の流通をやめるべきと提言している。
- 流通がやめれないならば、せめて消費者が選択できるように表示をすべきだと提案。
いまでは64か国が遺伝子組み換えを表示し、24か国がそれを禁止しています。
禁止している国々では「予防医学」の考え方を重視しています。
「最終的な効果が疑問視されているか、あるいは明らかになっていないような新たな生産物や方法の導入は認めるべきでない」という考え方です。
この考え方の根拠には様々な研究結果があります。世界での研究結果をみてみましょう。
世界での研究結果・報告
世界では遺伝子組み換え作物の表示運動の絶頂期までに、数百の研究が行われました。
下記に研究結果・報告をまとめました。
どれも遺伝子組み換え食品は健康被害をもたらすことを指摘しています。
- 2008年
イタリア 食品研究所
殺虫性トウモロコシを与えたラットは免疫細胞に悪影響。
- 2008年
オーストリア ウィーン大学
殺虫性と除草剤耐性の両方の性質を持たせたトウモロコシをラットに世代を越えて与えてところ、3、4代目の子孫で数の減少と体重の減少。
- 2011年
カナダ シャーブルック医科大学医療センター
除草剤耐性作物に用いる除草剤やその代謝産物(分解過程にあるもの)、殺虫作物に含まれるBt毒素が、妊婦の体内により多く蓄積、胎児にも移行。
- 2012年
フランス カーン大学
除草剤耐性トウモロコシを2年(ラットのおよその寿命)、200匹のラットに与えたら、ラットの寿命が短縮。また、メスのラットは特に影響が大きかった。大きな腫瘍の発生率が高く、その大半が乳がん。
【画像引用元:https://macrobiotic-daisuki.jp/genetically-kingcorn-1736.html】
- 左の写真:
【除草剤耐性トウモロコシ】を与えたラット - 中の写真:
【除草剤耐性トウモロコシ + 低濃度の除草剤ラウンドアップ】を与えたラット - 右の写真:
【低濃度の除草剤ラウンドアップ】を与えたラット
・ラットにはゴルフボール大の腫瘍がいくつもできました。
・この実験は、映画「世界が食べられなくなる日」でも紹介され、大きな反響がありました。
- 2016年
エジプト タンタ医科大学
殺虫性トウモロコシをラットに投与すると、腸の粘膜を破壊されるなどの損傷がみられた。特に空腸(十二指腸と回腸のあいだにある)で、損傷が大きかった。
世界ではさまざまな動物実験が行われ、ラットに異常が起きるなど多くの実験が異常を示しています。
では、世界の食の流れは今どのようになっているのでしょうか?
世界の動きは?
世界はすでに変わり始めました。
いまでは急速にオーガニックへ移行しています。
公的調達による支援もあります。
- 2001年に「アジャンス・ビオ」と呼ぶ官民の有機農業振興団体を設立。
- 有機農業振興団体は有機農業に転換したい農家に対する資金援助などを行っている。
- 2022年までに、給食食材のオーガニック(有機)の比率を50%にすることを法律で定める。今後も有機食材の普及が見込まれる。
- 南仏のムアン・サルトゥー市ではオーガニック100%を実現している。
- 1980 年代半ばに有機農業団体(イタリア有機農業協会)が設立されるなど有機農業が盛ん。
- 1990年代後半、有機の栽培面積、年率で10%強の伸びを示し、世界的に注目されてきた。
- これは1997年から5年間、EUが有機農業への転換を支援したことが大きく影響している。
- 若手農業者が有機栽培に転換しやすいよう法的な措置があり、支援や援助もされている。
- ほとんどの小・中・高校では学校給食が無償かつ有機の食材が使用されている。
- 学校給食が有機栽培になったことで一般の流通まで変わった。
- 2021年からソウルのすべての小・中・高校で「オーガニック無償給食」が全面施行される。
- 2016年から遺伝子組み換え食品は法律で禁止される。
- 2017年から遺伝子組み換え食品は禁止し有機に大転換している。
世界のスーパーでは遺伝子組み換え食品は押しやられ、お店にはオーガニック食品があふれています。
残念ながら、オーガニックに目覚めていない先進国は日本だけです。
日本は世界から後れをとっています。
遺伝子組み換え食品は安全だという意見もあります。
では、なぜ海外は遺伝子組み換え食品を拒否するのでしょうか?
あなたは遺伝子組み換え食品は安全だといえますか?
人間の身体では実験がされてないため、安全なのか、食べ続けたらどのような影響があるのかは分かりません。
わたしたち日本人が遺伝子組み換え食品を食べて続けていることが、人体実験だともいえます。
まとめ
遺伝子組み換え食品は安全なのか、まだ分かっていません。現代の科学技術では未解明な部分も多いです。そのため、遺伝子組み換え食品については賛否両論あります。
ただ、個人的には、これからどうなるのか分からないもの、もしかしたら数年後、数十年後にはとても危険なものであったことが判明してもおかしくないものを、自分を含め大切な人には食べてほしくないと思っています。
参考文献
・サステナブル・ブランド・ジャパン
・イタリアの有機農産物の現状調査
・イタリアの有機農業、そして地域社会農業
・ハンギョレ新聞
・「オーガニック後進国」日本の残念すぎる事実 |東洋経済オンライン
参考書籍
・UNSTOPPABLE あきらめない 愛する子どもの「健康」を取り戻し、アメリカの「食」を動かした母親たちの軌跡
著:ゼン・ハニーカット
訳:松田紗奈
・安全な食材は自分でえらぶ 今すぐできるかしこい見分けかた
著:野本健司