- ゲノム編集食品ってどんな食品?
- ゲノム編集食品は食べても大丈夫?
- 食べたくないときの対策は?
本記事ではこのような疑問にお答えします。
本記事の内容
- ゲノム編集とは
- ゲノム編集食品と遺伝子組み換え食品の違い
- 安全性は?
- 対策は?
ゲノム編集食品とは
2019年10月1日、ゲノム編集食品が解禁されていますね。
ゲノム編集とは、ゲノム(遺伝情報)を編集した食品です。
なんだか、難しいですね。
わたしたち生物の細胞には、「遺伝子」があります。
背が高かったり低かったり。目が黒色だったり茶色だったり、青色だったり。
「わたし」という人間が“どんな人間か”を決めています。
つまり、「遺伝子」とは、わたしたちをつくるための設計図です。
「わたし」という人間は、父親と母親の遺伝情報が引き継がれ、うまく混ざって作られています。
人間だけではありません。マグロもジャガイモも、両親から引きついだ遺伝情報をもとにつくられます。
この生物が持っている遺伝情報が「ゲノム」と呼ばれています。
ゲノムは普通、変えることはできません。
「あのモデルさんみたいに足が長くなりたい」と思っても足が長くはなりません。
でも、ゲノム編集は、このゲノムを“編集”して、「遺伝子の情報を変えることができる」技術なんです。
食の分野でもゲノム編集の研究が進んでいて、すでにゲノム編集された生物がもう存在しています。
「何それ?大丈夫なの?」と思いたくなりますよね。
ゲノム編集された食品にはどんなものがあるのでしょうか?
食に詳しい方だと「遺伝子を操作する技術」と聞くと、「遺伝子組み換え食品」が浮かんでくると思います。GMOとよばれているものですね。
では、「遺伝子組み換え食品」と「ゲノム編集食品」はどう違うのでしょうか?
遺伝子組み換え食品との違いは?
まずざっくりとした違いはこんな感じです。
ここからはゲノム編集食品と遺伝子組み換え食品の違いをもう少し深堀りしていきます。
遺伝子組み換え食品
遺伝子組み換え食品とは、別の生物の遺伝子を組み入れて、これまでにない、新しい性質をもたせた食品。
たとえば、どんなものがあるのかというと、
害虫を殺す成分を作る微生物がいます。
その“害虫を殺す成分を作る”という遺伝子を微生物から取り出して、
たとえば、とうもろこしに組み入れます。
すると、このとうもろこしは
“害虫を殺す成分を作る”能力を獲得します。
つまり、何が起きるかというと、この遺伝子組み換えされたとうもろこしの種を植えると、もう農薬が必要ありません。
とうもろこしが自分で害虫を駆除する成分、いわゆる毒のようなものを作り出すことができるからです。その安全性は大丈夫?という指摘があります。
では、今回のゲノム編集はどうなの?というと、
ゲノム編集食品
ゲノム編集食品とは、食品(生物)自体のもともとある遺伝子を壊し、これまでにない、新しい性質をもたせた食品。
ゲノム編集は、“特定の遺伝子配列を切断する”ということを行います。
もっと簡単にいうと、遺伝子を切るハサミのような役割をするもの(酵素)を注入します。“この種類の遺伝子を切りますよ”というハサミを入れると、長い二重らせん構造になっている遺伝子の特定のところだけを切ってくれます。
具体的にはどんなものがあるの?
たとえば、国が主導ですすめているケースに、「おとなしいマグロ」の開発があります。
マグロはもともと気性が神経質。
養殖しようとしても、狭い生けすの中で、ほかのマグロを攻撃します。雷が発生するとパニック状態になり、壁に激突したりして、死んでしまうなんてことも。死んでしまっては養殖業の方は、たまったもんじゃありません。
そこで登場したのがゲノム編集です。
マグロの遺伝子の中の神経質というものを特徴づけている遺伝子配列のところをチョキン!と切っちゃいます。
卵の状態のところに酵素(ハサミ)を入れて、遺伝子を切ってしまうんです。すると、卵からかえったマグロは神経質の部分がカットされているので、穏やかなマグロです。
そのような食品、安全性は大丈夫なんでしょうか?
安全性は?
結論からいうと、
“安全だ”という専門家もいれば、“いや安全とは言い切れないでしょ”、とこれまた両方の意見があるんです。
現状、はっきり安全だとも、危険だとも言い切れないのがゲノム編集食品です。
安全ですよという人の意見にあるのが、
もともと、生物の中にある遺伝子の特定の働きを抑えただけ。新しい遺伝子を入れたわけではない。ターゲットになっている箇所は明確なので、安全性は高いと。
本当に安全なのでしょうか?
なぜなら「オフターゲット作用」があるといわれているからです。
「なんですか、それ?」というと、
ゲノム編集はハサミ(酵素)を入れて、チョキン!と切りますよね。でも厳密に分析してみると、ねらった遺伝子配列だけじゃなく、間違えて他のところも切っちゃったりすることがあるようです。
ねらった遺伝子以外を切ってしまった場合、思わぬ影響が出る可能性があるのではと専門家からいわれています。作物の毒性が出たり、アレルギーの原因になる物質が増えたり。
ゲノム編集によってとんでもない生物ができてしまったら…。おかしな生物ができる確率がゼロではありません。
個人的には、ゲノム編集された食品を食べると思うと恐ろしいです。年に数回しか食べないような食べ物ならまだしも、野菜や魚など食べる頻度がほぼ毎日、長期にわたって食べた場合の安全性は本当に問題ないのでしょうか。
専門家が単に「安全です」といっただけでは、わたしたち消費者は納得できない時代です。公的の研究施設や企業での情報公開がすすまなければ「安全性」は確保されません。
考えれば考えるほど、ゲノム編集食品の安全性には疑問が残ります。
では、これらを知ったうえで、ゲノム編集食品を食べたくない場合、どうしたらいいのでしょうか?
対策
アメリカではゲノム編集された大豆が栽培されています。ゲノム編集大豆が原料の油がレストランで使われているようです。
もしかしたら、すでに日本に輸入され、わたしたちは食べているかもしれません。
しかし、いまのところ農家もわたしたち消費者もゲノム編集食品かどうか見分けることは困難です。なぜなら表示義務がないから。
現状、消費者であるわたしたちができることは2つあります。
ゲノム編集食品に反対しているメーカーのものを購入する。
自分がここなら大丈夫という信頼できるメーカーをみつけることが大切です。探すと、生活クラブなどゲノム編集食品を扱わないと決めている業者もあります。
これからは、自ら知識を得て、食べるものを判断することが大事になってきます。大切な情報はテレビや新聞から垂れ流しにされません。努力して掴みにいかなくちゃ得られません。もう自分の身は自分で守る時代です。わたしも情報をしっかりキャッチしていきたいと思います。
家庭菜園、ベランダ菜園をおこなう。
ゲノム編集食品にかぎらず、これから新しい技術がどんどんすすんでいくと、不自然な食品が増えていく可能性が高いです。どれが安全な食品なのか、わたしたち消費者に公開される情報も多くはありません。
そうなったとき、自分たちの食べるものは、なるべく自分たちで作る必要がでてきます。
たとえば、ミニトマトなら家庭のプランターでも手軽に作れます。市販されている苗にも農薬は使われているため完全に無農薬というのは難しいですが。
いろいろな野菜を作るのは大変でも、ハーブや薬味ならはじめやすいです。
以下のものなら、プランターでも十分栽培できます。
ご参考までに。
参考書籍
・ゲノム編集の衝撃「神の領域」に迫るテクノロジー
著:NHK「ゲノム編集」取材班